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【現地観戦レポ】阪神×広島3連戦で感じた5つの希望と3つの課題|2025年4月甲子園

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4月18日~20日にかけて阪神対広島戦が甲子園球場で行われました。阪神はまだ本拠地において1勝しかしておらず、絶対に勝ち越したいカードでした。

結果としては18日は2-5で広島の勝利、19日は0-3で広島の勝利、20日は8-1で阪神の勝利でした。阪神は勝ち越すことができず、本拠地での勝ち試合は2試合のみとなっています。

今回の記事では、3日間の試合での阪神のナイスプレー集と、勝つために課題となっている問題点について分析していきます。

対広島戦の阪神ナイスプレー集

4月18日前川右京のタイムリーで2点を先制

3番森下翔太選手がセンターへの人で出塁、続いて4番の佐藤輝明選手がセンターへのヒットで出塁し2アウト1、3塁。5番の大山悠輔選手がフォアボールを選び出塁し2アウト満塁に。6番前川右京選手がレフトへのタイムリーヒットを放ち2点を先制しました。

この日の試合の唯一の得点を挙げた前川右京選手は、現在チーム内で打率がトップの.328という成績を残しています。まだ21歳と若く、将来のクリーンナップを担うとファンからの期待値が高い外野手です。本拠地の甲子園では前川選手が打席に立つたびにファンの歓声が響き渡っていました。今季のオープン戦、私は実際に阪神戦5試合を観戦しました。その中でも前川右京選手の打席は毎回、球場全体が期待に包まれる独自の雰囲気がありました。特に4月18日のタイムリーは、打った瞬間にスタンドが総立ちになり、私自身も思わず声を上げてしまいました。今季の前川選手は、打席での落ち着きやスイングの鋭さが昨年より明らかに進化していると、現地で強く実感しています。

4月19日森下翔太選手が猛打賞!3つのヒットを放つ

19日は、阪神は得点をあげることができませんでしたが、森下翔太選手が3打席でヒットを放つ活躍を見せました。森下選手は開幕の際は4番を務めていましたが、4月15日のヤクルト戦から3番打者に変わっています。

3番打者になってから打率はあがってきており、3割を超える打率を残しています。

森下選手は昨年オフにあった国際大会プレミア12で4番を務めており、持ち前の打撃センスを発揮し、大活躍してくれました。その期待感から藤川監督は阪神でも4番を任せましたが、若手選手のプレッシャーを軽減してのびのびとプレーさせたいという思いから昨年までと同様に森下選手を3番に戻したのではないでしょうか。私はまた森下選手の4番を背負う姿が見たいので、さらに成績を上げて4番で奮闘してくれることを願っています。

4月20日佐藤輝明選手が1試合で2本塁打・6打点

今日のヒーローとなった佐藤輝明選手が、ホームラン2本と2ベースヒットを放ち6打点を挙げて勝利に貢献しました!開幕の際には、4番は森下翔太選手が務めていましたが、その後は大山悠輔選手や佐藤輝明選手に変わっています。

今日は4番打者にふさわしい成績を残していました。今日の2本の本塁打で今季7本目を記録し、セリーグ1位となっています。

今季の佐藤輝明選手は、自身に満ち溢れ堂々とプレーしている姿が目につきます。3月に行われた対ドジャース戦では、ホームランを放ちその経験からも自身がついたのではないかと感じます。4月20日の試合は内野席の前列で観戦。佐藤輝明選手が2本目のホームランを放った瞬間、目の前で見た打球の伸びと、ベンチに戻る時の堂々とした表情がとても印象的でした。昨年よりも明らかに体格がパワーアップしており、打席での自信が伝わってきました。現地でその変化を目の当たりにできたことは、ファンとして大きな喜びでした。

4月20日初先発の伊原陵人選手がプロ初勝利

2024年ドラフト1位入団の伊原陵人選手が初先発で登板し、5回4安打無失点の好投を見せ、勝利投手になりました。今季の開幕時から1軍にいましたが、リリーフを務めていました。リリーフで好投を見せていた伊原選手は先発転向後も安定したピッチングを披露していました。

2024年の社会人ナンバー1投手と言われていた伊原選手ですが、投手としての特徴や魅力についてまとめていきます。

実際に私が現地観戦をしていて感じたのが、伊原選手とキャッチャー坂本選手のコンビネーションの良さでした。常に冷静で的確なリードをする坂本選手と伊原選手の制球の良さが際立っていました。伊原選手はまだルーキーということもあり、緊張する場面はあると思いますが、坂本選手の安定感があってこそ伊原選手の投球が光っているのだと感じました。今後もこの2人のバッテリーが見たいです。

伊原陵人選手の投手としての魅力・特徴

  • 投球スタイルの特徴:ショートアームというテイクバックが小さいフォームをしており、打者にとってボールの出所が見えにくいのが特徴です。体をひねってリリースするため、打者にしてみるといきなりボールが出てくるように感じます。
  • 高い回転数と変化球:伊原選手が放つストレートは回転数がなんと2500回を超えると言われています。そのため、球の伸びが良く実際の速度よりも速く感じます。さらにカットボールやフォーク、チェンジアップを駆使したコントロール力も伊原選手の武器の1つです。
  • 右打者への内角攻め:伊原選手が得意としているのが右打者で、内角を積極的に攻めるのが特徴的で右打者はなかなか手が出せないとされています。

広島戦で見えた現在の阪神の3つの課題

守護神不在。クローザーは固定する必要があるのか?

まず問題点として考えられるのはクローザー問題です。現状、守護神と言えるピッチャーが阪神にはいません。昨年までは岩崎優選手が主に務めており、昨年から阪神でプレーしているゲラ選手とダブルクローザーとされていました。

岩崎選手は今年34歳になるベテラン投手で経験値も豊富であり、後輩の投手陣からも絶大な信頼を得ている選手です。ただ、球速自体は速いほうではなく、球持ちがいいタイプなので体感速度が高いのが魅力の一つでしたが、昨年の後半から球の伸びが良くなく、大事な場面で打たれることも多々ありました。

日によって投球内容に波があり、リードしていた試合でも相手打線につかまり追いつかれてしまう場面が最近多く見受けられています。

実際に現地で観戦していると、9回のマウンドに上がる投手が毎試合異なることに不安を感じました。特にリードしている場面での観客の緊張感は、昨年の岩崎投手が安定していた時期とは 綺羅化に違います。

球場の雰囲気からも、「守護神不在」の影響を強く感じました。今後は調子の良い投手を柔軟に起用するなど、現地で感じた不安を解消できる運用が求められると考えます。

遊撃手は固定するべきか、併用するべきか

開幕から固定でショートを守ってきたのは木浪聖也選手です。しばらく固定されてきていましたが、17日のヤクルト戦~エラーを出してしまい、それ以降の試合でも守備でエラーが見受けられました。これまでは安定した守備と送球、打撃での粘り強さが評価されてきていたので今年は固定かと思われていました。

その後は控えの小幡竜平選手が出場する機会も増えてきています。木浪選手は今年31歳で阪神の中ではベテラン選手になります。固定になると、体力的にもキツく、本来のパフォーマンスを発揮することができないのではないかと危惧します。

正遊撃手を争う2選手が切磋琢磨し合いながら、併用起用されるのがチームのためには最善の選択なのではないかと感じます。

昨年好成績だった先発陣が打ち崩される

昨年好成績をおさめていた先発の才木浩人選手とビーズリー選手が今年は苦戦を強いられています。両選手は好投を見せていますが、援護が少なく、才木選手は1勝2敗、ビーズリー選手は0勝0敗という成績を残しています。

才木選手は昨年に比べてコントロールで不安な要素があり、与四球が多い印象です。また、平均球速も昨年は149キロでしたが今年は147キロと下がっている状態です。

ビーズリー選手に関しては昨年防御率2.47と安定した成績をおさめていましたが今年は5.02と苦戦をしています。さらに被安打数が増えており、決め球にも手を出されてしまう印象です。

2桁勝利が期待できる2枚看板の先発投手が大苦戦を強いられている状況は想定外でしたが、その分野手陣が奮起して援護点をいれて勝利に導いてほしいです。

まとめ

阪神タイガースの対広島戦では、若手選手たちの活躍が光る一方で、守護神不在や遊撃手の起用法、そして先発投手陣の苦境といった問題も浮き彫りになりましたが、若手選手の成長と経験豊富な選手たちの復調がチームの鍵となりそうです。

それぞれが持ち味を活かし、チーム一丸となってこれからのシーズンを戦っていくことが期待されます。阪神がより一層の躍進を遂げるためには、適切な起用法と支え合いが必要不可欠です。

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